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SUS300系
2024年3月6日

【オーステナイト系】
冷間加工だけで硬化し、熱処理を行っても硬化せずに、かわりに軟化します。
このオーステナイト組織は、熱処理の状態では磁性はありませんが、冷間加工では少しの磁性を見せます。
こうした加工後でも磁性がないものもあります。
500~800℃に加熱すると結晶粒界にクロム炭化物が析出してくるという欠点があり、粒界腐食(金属組織を構成する粒と粒の境界線から腐食していく)の原因となります。
これを防ぐために、炭素量を減らしたり、チタンやニオブなどの安定化元素を添加して、クロムの代わりにこれらの物質と炭素を結び付けてクロム炭化物の生成を抑える方法があります。
耐摩耗、耐食が必要な場合は、浸炭や窒化して用いることがあります。
Niを含有しているので、常温でもオーステナイトの組織が安定している材料で、またCrとNiの含有量が多いことから、耐食性、耐熱性に優れます。低温じん性にも優れます。
応力腐食割れ感受性が高いという欠点については、添加元素により改良されている鋼種もあります。
耐食性、加工性、溶接性など他のステンレス鋼材種で最も優れますが、焼入硬化性がない為、強さや硬さの面では他種に劣る部分や欠点もあります。
ただ総じて優れた性質を発揮するため、用途や利用領域が広いステンレスと言えます。

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